女性が離婚に踏み切れない理由

今日の私が住んでいるフィンランドの北の森の日の出時間は午前10時35分、日没は午後2時06分。日照時間がほんのわずかずつですが長くなり始めました。。
と言っても、午前9時半ころには薄明るくなってきますし、今は午後2時45分ですがまだ真っ暗という感じではありません。
2016年も明日で終わりです。
こちらに来てからはお正月料理も作らなくなり、かといってフィンランドのクリスマス料理もしないのでいつもと変わりのない、どちらかというといつもよりゆったりとした時間が過ごせる年の瀬です。

          フィンランドは離婚が多いから幸せ?

数日前、あるサイトで「フィンランド人はとても幸せそうな人が多いけれど、なぜ離婚が多いのでしょうか」という質問に「離婚が多いから幸せそうなのかもしれませんね」とフィンランド人が答えていました。
私もその通りだと思います。
誰でも結婚するときは、この人と添い遂げようと思っているに違いありません。
そして、多少のトラブルや行き違い、思わぬ不幸や苦難があったとしても、お互いに相手を思う気持ちが変わらずに添い遂げられることが一番望ましいことだと思います。
けれど長い人生、考え方や価値観が変わることは自然のことだし、違う人を好きになってしまうことでさえ、これはどうしようもないことではないでしょうか。
理由がどうであれ、結局二人の心が離れてしまった時に、離婚できる環境があるかどうかが大きな分かれ目になってきます。
当然、日本は離婚できる環境は整っていません。以前の投稿でも書きましたが極貧生活を覚悟しなければならないのです。昼夜を問わず働いても貧困から抜け出せない人がたくさんいます。
かと言って、心が離れた夫婦が生み出すものは、ろくなものではありません。

          本当に離婚は子供のためにならないのでしょうか?

何度もこのブログで触れていますが、私は2度の離婚経験者です。離婚原因は違っていましたが、2度とも私が言い出した離婚でしたが大変なエネルギーが必要でした。
2度目の離婚の時はすでに経済が破たんしていましたが、1度目の夫は銀行員で経済面は非常に安定していました。その生活を捨てて新しい人生を踏み出すには相当の迷いがあり、決意するまでにかなりの年数を要しました。
その間、夫とケンカになると、当時まだ2歳か3歳くらいだった長男が、「ごめんなさい、ごめんなさい」と言って泣きながら私にすがり付いてきたのを思い出します。

子供の前でケンカすることは極力避けてはいたものの、子供は敏感だからうまくいっていないことはすぐに察知してしまいます。
このままじゃいけないと思いつつも離婚後の生活の怖さゆえに、結局離婚に踏み切れたのはこのことがあってから、5年後でした。

離婚についてはいろんな考え方があります。
その大半は「子供のために離婚は思いとどまるべきだ」というものです。
確かに、私の二人の息子たちは離婚(というより父親と母親の関係が破たんしたこと)による、多大な被害を被ったことだろうと思います。と言って、離婚しなかったとしてもやはりまた種類の違った被害があったに違いありません。
あんなに仲が悪いのなら離婚してほしかったと嘆く子供たち(既にに大人になっていますが)を、私はたくさん知っています。
なので「子供のために離婚は思いとどまるべきだ」は、ちょっと違う気がします。
「自分と子供の経済のために離婚は思いとどまるべきだ」というのが正確な表現だと思うのですが、きれいごとが好きな日本人はとてもそうは言えませんよね。
もちろんどんなにダメ夫でも、「この人のそばを離れたくない」と思っている人は、離婚する必要はありません。ここで言っているのは、心が離れてしまった夫婦の場合です。心が離れてしまったら、離婚をしてもしなくても、子供に与える精神的ダメージの大きさは同じだということです。離婚をしなかった場合は、その険悪な人間関係をずっと見なければならないし、離婚をすれば父親との別離という体験を余儀なくされることになります。
このように精神的なダメージだけを取り上げれば、種類が違うだけです。
けれど、経済的な問題は、離婚後の母子に大きくのしかかってきます。
日本における離婚件数は2004年をピークに減少傾向にあります。これはやはりその時期の景気が大きく影響していると、私は思っています。

          離婚しても安心して生きていけるフィンランド

日本と違ってフィンランドは、フルタイムで働いている女性の割合は世界1位です。
保育園は入りたいと言えばすぐに国が手配してくれます。待機児童ゼロ。(日本の待機児童は2016年4月1日時点で2万3553人となり、前年同時期比で386人増加)

教育費は小学校から大学院まで無料。(日本は国立大学でも4年間の費用約457.5万円、一人暮らしになると約1002.1万円)

離婚した後も、父親(母親)の責任は変わらない。たとえお互いが再婚したとしてもその相手は父親(母親)の妻(夫)であって、子供にとっての母親(父親)ではないのでお母さん、お父さんとは呼ばず名前で呼びます。
もし何らかの事情で子供が本当の父親と会えない場合、やはり子供は特定の大人の男性と遊んだりする機会が必要だということから、男親サービスというのがあります。ボランティアで若い男性が子供を遊びに連れて行ったりして、身体を使って母親とはまた違った接し方で、子供との触れ合いを持ち心を通わせていくのが狙いだそうです。
このように離婚後の経済面でのケアだけでなく、精神面のケアも行き届いているのです。

          離婚が増えるから女性を優遇しちゃいけない?

「女性をそんなに優遇するから、簡単に離婚に走るのだ」と非難する人が日本にはたくさんいます。そしてそれを言うのはなぜかほとんどが女性です。まさしく女性の敵は女性。
私も一人目の夫との離婚を決めた時、女友達に「女が稼ぎを持つとこれだから困るよね」と言われました。もう30年も前のことですが、いまだに忘れられません。

彼女の夫は家を全く顧みない夫で浮気も何度もしていました。娘たちは父親のことを軽蔑の思いを込めて「あんなヤツ」と呼んでいるそうです。それでも彼女はいまだに離婚はしていません。娘二人をしっかり自分の味方につけて、これで老後は安泰なのでしょう。
私はエゴを偽善で隠す彼女のような生き方は絶対にしようとは思いませんが、誰がどういう人生を選ぼうとそれぞれの自由です。けれど新しい人生に踏み出す勇気のなかった自分へのいら立ちを、勇気をもって新しい人生に踏み出そうとする女性に向けて、足を引っ張るようなことはしないでもらいたいと思うのです。
こういう人たちが、母子家庭の貧困率が世界でワースト1位という情けない日本の現状に対して何の策も講じない政府を容認しているだけでなく、助長しているのです。
「女性をそんなに優遇するから、簡単に離婚に走るのだ」と言う人を、
私は心から軽蔑します。

 

 

 

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フィンランドの男たち

私が翻訳したミンナ・カント著の「労働者の妻」にもあるように、ほんの100年ほど前までフィンランドは女性に財産権も認められていない、女たちにとっては哀しいくつらい国だった。その国が今では女性が生き生き暮らせる国に成長した。
そのために大きな貢献をしたのはやはり女性たちである。
以下に『Suomalainen nainen(フィンランドの女性)』という書籍の序文に書かれている内容を私なりに訳したものを記載する。
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現代のフィンランドのイメージには、フィンランド女性も含まれるようになった。我々は、母であり、妻であり、家族の稼ぎ手であり、社会参加者であり、影響を与える者である。我々は、ヨーロッパの姉妹たちよりもっと、フルタイムの仕事に従事している。

我々は最高の訓練を受けており、また政治的な活動家である。女性が活動的になることはフィンランドの特徴である。自分の意見、自分の収入、そして頻繁に、少なくとも精神的に、自分の部屋を持っている。個性的になることの背景には、1906年ヨーロッパで最初の選挙権と被選挙資格があったということだ。また、フィンランド語の『Hän』という代名詞は、「彼」または「彼女」のどちらにも使う代名詞であり、一般的な言語のような男女の差異化が存在しない。この手本になった強い先祖の母たちに感謝できることについて、われわれは、希望ある女性たちだ。
(中略)

フィンランド以外の国の人たちは、よく尋ねる、どのように私たち北の国の女性たちは家族とフルタイムの仕事を維持しているのかと。それを可能にしているのは学校給食と子供をケアする法律であると私達は答える。フィンランドの女性政策には強い伝統がある。私達は教養や文明、そして社会の資産を男性よりも多く獲得した。

 私達は、他の人たちに自分たちの物語を知ったかぶりして語ることを望まない、そうではなくてフィンランド女性たちの選択と対処方法を評価するものである。大部分は1900年代のフィンランド女性を語っているが、我々は女性が優しい顔でいられるようになる新しい1000年に照準を当てている。北部の次元にフィンランドの出来る女性たちが含まれていることを、私たちは信じている。
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離婚以後、お向かいの夫(以下A男さんと呼ぶ)さんは、頻繁に我が家に来るようになった。「あいつは裏切り者だ」「恨みと怒りが交互にやってくる」などなど…
元妻を罵倒する言葉と、恨みつらみを連発する。
A男さんは新たにダンス教室にも行き始め、新しい女性を物色しているにもかかわらず、3か月以上過ぎた今も悲劇のヒーローを演じている。体重は10kg減ったという。(自分はこんなにやつれるほど落ち込んでいると周りの人たちにアピールするために、大好きなチョコレートも食べたいのを必死で我慢しているように思えて仕方がない。こういう風に思う私は、目が偏っているのだろうか…)

私が参加している他のグループでも、暖かく包容力があり、凛とした大きさを感じる女性たちに対して、「ちっちゃいヤツ」と思ってしまうような男性をよく見かける。
「男性の稼ぎで食べていくことを潔しとしない」女性たちの努力と、子供を持つ母親をVIPだとする国の政策とが相まって、どんどん大きく成長したフィンランドの女性たちに男性たちは取り残され、必死であがいているのかもしれない。
日本は国の政策や世論はシングルマザーには厳しく、なんといっても男性が経済の主導権を握っているので、男は経済を振りかざせば、女を従わせることは容易に出来るが、フルタイムの仕事をしている女性が全体の8割以上を占めるフィンランドのような国では、「誰のおかげで食べられると思っているんだ」という男特有の決めゼリフは使えないのだ。そう思うと、フィンランドの男性は気の毒なものだ。

それに比べて、日本はやはり男にとっては天国だ。
日本では女性は離婚すれば、よほど裕福な親がいるか、独身時代から働き続けて相当なキャリアを持っているかでない限り、極貧の生活は目に見えている。
troubleもともと雀の涙の母子手当は減り続ける一方。
低額な保育所は待機児童があふれていて入れてくれないので、働くために仕方なく高額な保育園に入れることになる。
何の社会保障も得られない様なところでも就職先があれば御の字で、それも子供が熱でも出せばすぐに帰らねばならず、そうこうしているとすぐにクビを切られてしまう。
そもそもちゃんと収入のある親族が保証人にならなければ、女性が一人で部屋も借りることさえできないのが現状だ。bosi
日本という国は「先進国だ」「経済大国だ」と豪語しながら「ひとり親家庭の貧困率」の世界ランキング、堂々1位の実績を守り続けている。
まぁ、なんとご立派な。
その上、世論はそれを「自己責任」だと言い、わずかの母子手当を受け取ることを「税金泥棒」だと言う。
もう「お見事!」「あっぱれ!」としか言いようがない…
このように女一人で生きていこうとすれば、極貧と世間によるイジメを覚悟しなければならない日本だからこそ、たとえ暴力をふるわれても、浮気をされても、せこくてケチな男でも、女は生きていくためにすべてに目をつむり、アホな男について行かなきゃならない。

ホント、日本は男にとって天国ですよ。
日本を離れちゃだめですよ、男性諸君❢
間違ってもフィンランドには来ないように。

フィンランドの離婚

お向かいさんの夫婦が離婚した。
週に二日だけ妻が夫の家に子供を連れてやってくるという形で、籍も入っていない関係だった。妻と子供はここから100km離れた中都市に住んでいて、妻は公務員でフルタイムの仕事につき、子供もその街の学校に通っている。夫は一人でずっとこの地で建築関係の仕事についている。パートナーになってもう20年近いそうだ
今年の8月、妻からの電話で「離婚しましょう」という宣告を一方的に受けたそうだ。
そもそもフィンランドでは籍が入った夫婦の離婚も、日本から比べたらはるかに簡単で、片方が離婚を望めば、その理由は何であろうと6か月間のクーリングオフ期間さえ済めば離婚が認められる。子供については共同親権が普通で親は離婚しても、親子の関係は途絶えることはない。
その後、他の人と再婚しても、その人は子供の親にはならない。子供もママ父(ママ母)のことを「お父さん(お母さん)」と呼ばないそうだ。
籍を入れていてもそんなに簡単なのだから、籍も入れず同居もしていないお向かいのケースは、なんとその妻からの電話1本で終わったらしい。

私がフィンランドに来るきっかけを作った当時のフィンランド首相の「心の離れた夫婦が一緒に暮らしていても幸せではない」というあの名言。
私はこの言葉に感動し、こうして移住まで果たした運命の言葉だ。
日本では女性が子供を抱えて夫無しで生きていくことが非常に困難な状況であることは、誰が見ても明白な事実だ。お互いの心が冷え切っていようが、夫が浮気をしていようが、暴力を振るわれようが、妻は離婚を決断できない。images5
その点フィンランドは、妻もフルタイムで夫と同等に働いている上に、国の福祉が充実している。何より大きいのは子供の教育費が大学まで無料だということだ。本人の意志さえあれば、医者にだって無料でなれるのだ。
私の経験から言うと、離婚の際の一番の大きなハードルは、子どもの未来だ。
自分は自分の道を選ぶのだから、貧しくなっても耐えられるが、その自分の道に子供を道連れにしていいものかと悩んでしまう。まともに教育を受けさせらるかということだ。
フィンランドの離婚について書いている日本のサイトはいろいろあるが、簡単に離婚ができるのは良くない、という考え方が主流を占めている。それが私には全く理解できない。理解できないどころか怒りを覚える。
女性が自分の気持ちを尊重し、自分の道を生きられる社会がなぜいけないのか。
もちろん、日本人は男性だけに限らず女性までもが従来の概念を疑いもせず、女性が幸せに生きようとすると足を引っ張る。
男女平等の世界ランキングが、日本は111位、フィンランドは2位。
社会制度だけでなく、国民一人一人の考えが、そもそも男尊女卑なのである。

こういう件について書いていると、また怒りがこみ上げてくる。
このブログのサブタイトルでも言っているように、日本にいる頃の私はこうして怒ってばかりいた。
だけど、そういう理不尽だらけの国を抜け出して、共感できる国のシステム、人の考え方、女性の強さを日々感じることが出来る国に住んでいる自分が、嬉しくてたまらない。言葉もなかなか使えるようにならなくて、大変なこともたくさんあるけれど、やっぱり移住してきてよかった。本当に素晴らしい国です、フィンランドは。