フィンランドの離婚

お向かいさんの夫婦が離婚した。
週に二日だけ妻が夫の家に子供を連れてやってくるという形で、籍も入っていない関係だった。妻と子供はここから100km離れた中都市に住んでいて、妻は公務員でフルタイムの仕事につき、子供もその街の学校に通っている。夫は一人でずっとこの地で建築関係の仕事についている。パートナーになってもう20年近いそうだ
今年の8月、妻からの電話で「離婚しましょう」という宣告を一方的に受けたそうだ。
そもそもフィンランドでは籍が入った夫婦の離婚も、日本から比べたらはるかに簡単で、片方が離婚を望めば、その理由は何であろうと6か月間のクーリングオフ期間さえ済めば離婚が認められる。子供については共同親権が普通で親は離婚しても、親子の関係は途絶えることはない。
その後、他の人と再婚しても、その人は子供の親にはならない。子供もママ父(ママ母)のことを「お父さん(お母さん)」と呼ばないそうだ。
籍を入れていてもそんなに簡単なのだから、籍も入れず同居もしていないお向かいのケースは、なんとその妻からの電話1本で終わったらしい。

私がフィンランドに来るきっかけを作った当時のフィンランド首相の「心の離れた夫婦が一緒に暮らしていても幸せではない」というあの名言。
私はこの言葉に感動し、こうして移住まで果たした運命の言葉だ。
日本では女性が子供を抱えて夫無しで生きていくことが非常に困難な状況であることは、誰が見ても明白な事実だ。お互いの心が冷え切っていようが、夫が浮気をしていようが、暴力を振るわれようが、妻は離婚を決断できない。images5
その点フィンランドは、妻もフルタイムで夫と同等に働いている上に、国の福祉が充実している。何より大きいのは子供の教育費が大学まで無料だということだ。本人の意志さえあれば、医者にだって無料でなれるのだ。
私の経験から言うと、離婚の際の一番の大きなハードルは、子どもの未来だ。
自分は自分の道を選ぶのだから、貧しくなっても耐えられるが、その自分の道に子供を道連れにしていいものかと悩んでしまう。まともに教育を受けさせらるかということだ。
フィンランドの離婚について書いている日本のサイトはいろいろあるが、簡単に離婚ができるのは良くない、という考え方が主流を占めている。それが私には全く理解できない。理解できないどころか怒りを覚える。
女性が自分の気持ちを尊重し、自分の道を生きられる社会がなぜいけないのか。
もちろん、日本人は男性だけに限らず女性までもが従来の概念を疑いもせず、女性が幸せに生きようとすると足を引っ張る。
男女平等の世界ランキングが、日本は111位、フィンランドは2位。
社会制度だけでなく、国民一人一人の考えが、そもそも男尊女卑なのである。

こういう件について書いていると、また怒りがこみ上げてくる。
このブログのサブタイトルでも言っているように、日本にいる頃の私はこうして怒ってばかりいた。
だけど、そういう理不尽だらけの国を抜け出して、共感できる国のシステム、人の考え方、女性の強さを日々感じることが出来る国に住んでいる自分が、嬉しくてたまらない。言葉もなかなか使えるようにならなくて、大変なこともたくさんあるけれど、やっぱり移住してきてよかった。本当に素晴らしい国です、フィンランドは。

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ミンナ・カント『労働者の妻』の翻訳が完成しました

2年ぶりの投稿です。
ようやく、ミンナ・カント著『労働者の妻(Työmiehen vaimo)』の翻訳が完成し、Amazon Kindleから発売されました。2冊目の出版です。

女たちのフィンランドⅡ: 労働者の妻

前作同様、1800年代後半にフィンランドで上演されたものを脚本形式で編集されたものです。
内容は、前回の「牧師の家族」よりもはるかにショッキングで、ほんの100年前まではフィンランドという国が女性にとって、とてもつらく悲しい国であったことが表現されています。
その悲惨な歴史から脱し、今日のフィンランドを築き上げた女性たちに改めて感動し、拍手を送りたい気持ちです。

KindleUnlimitedに登録すれば、無料でお読みいただけます。

 

社会と人生の未来を考える

デンマークに関する記事を読んでいて、Jante Lawという教えがあるということを知りました。デンマークはこの教えを元に高福祉社会が出来上がったということです。

その教えとは

  1. You’re not to think you are anything special.
    (自分を特別であると思うな)
  2. You’re not to think you are as good as us.
    (自分が相手と同じくらい価値あると思うな)
  3. You’re not to think you are smarter than us.
    (自分が相手よりも頭がよいと思うな)
  4. You’re not to convince yourself that you are better than us.
    (自分が相手よりも優れていると思い上がるな)
  5. You’re not to think you know more than us.
    (自分が相手よりも多くを知っていると思うな)
  6. You’re not to think you are more important than us.
    (自分が相手よりも重要であると思うな)
  7. You’re not to think you are good at anything.
    (自分は何かが得意であると思うな)
  8. You’re not to laugh at us.
    (相手を笑うな)
  9. You’re not to think anyone cares about you.
    (相手の誰かが自分を気にかけていると思うな)
  10. You’re not to think you can teach us anything.
    (相手に何かを教えることができると思うな)

この意識がデンマーク人に浸透していると言われています。フィンランドもこれと同様の平等意識があります。この平等意識があるからこそ、『お母さんに優しい国世界一』であり、『格差の少ない社会』であり、『男女平等の国』であるのです。平等意識から『優しさ』が生まれ、『真の幸せ』を感じられる暮らしが創られるのです。

日本のような競争社会の中に平等が生まれるわけはなく、勝った負けたで一喜一憂し、弱いものを蔑み、強いものに嫉妬する。この記事を書くにあたり関連サイトを見ていたら、平等や幸福度でいつも上位ランキングされている北欧とは真逆の、日本での「格差の拡大」「若者や女性の貧困」「職場や地域に於ける大人のイジメ」「教育の荒廃」などなど、暗く厳しい現実が否が応でも目に入ってきます。このような事実を見るたびに、何かをしなくてはいけないのではないかという思いがわきあがってきます。

フィンランドで暮らしていると「こんな国で学生時代を過ごしたかった」「こんな国で結婚したかった」「こんな国で子供を育てたかった」といった感情が抑えきれず、なぜ私は日本人として生まれなければならなかったのかと、自分ではどうにも動かしがたい運命を恨めしく思うことがよくあります。けれど人生に偶然は無いとしたら、日本人に生まれたからこそできることがあるとも思います。いつも権力者などの強者の餌食にされ、智と力がないが故に、はむかうことも出来ずボロ雑巾のように社会の片隅に放り出されている弱者と呼ばれる人たちに、このフィンランドの社会や未来を見据えた考え方を伝える学校。そう『社会と人生の未来を考える学校』。絵葉書_0003

教師はもちろん各界のフィンランド人。校舎は廃校になって今は使われていない建物。全寮制で夜を徹して話し合うことも出来る。期間は観光ビザで可能な3ヶ月間。生徒の年齢は15歳以上ならOK。運営費用は日本の現状に危機感を感じている私たち団塊の世代や企業からの寄付金で賄う。そして生徒となりたい人たちの負担は出来るだけ安く抑える。

夢は私の心の中でどんどんと広がります。

どなたか共感・賛同する人はいませんか?