寄る年波

2週間ほど前から、息子にセーターを編んでいました。
息子は常日頃から、この年齢になってからフィンランドに移住した私たちを気遣ってくれていて、DVDを送ってくれたり、ついこの間は、「鬼トレ」と「iPad mini」をプレゼントしてくれました。そのお返しに、久しぶりにセーターを編んでみようかと思い立ちました。
フィンランドに来て、靴下や手袋はいつも編んでいたのですが、セーターのような大物は久しぶりです。しかも北欧編みこみにしたかったので、中細程度の太さの糸で、編み針は3号という細さ。
クリスマスに届けられるように、無理をして一日編み物をしていたら、肩がガチガチにこり、
手先のしびれ、吐き気、果てには目まいまでする始末。
気だけは若くても、寄る年波には勝てないことをしみじみと思い知らされました。
3日前に出来上がり、今は、編み物を少し控えているのですが、編みたいものはたくさんあって、なんとか肩こり、首こりを解消できないものかと、考えています。

20121211_214332このデザインもそうなのですが、ノルウェーの糸屋さんが出しているサイトが、数え切れないほどの無料編み図を提供してくれています。(残念ながら日本語ではありませんが)
有料編み図は一枚もありません。
http://www.garnstudio.com/lang/en/kategori_oversikt.php

また、編み方の動画もたくさん出ています。これは動画だけで、言葉で説明していないので私でもよくわかります)
http://www.garnstudio.com/lang/en/video.php

これだけの編み図や動画を無料で提供しながら、糸を買うように誘導する事は、ほとんどありません。これで採算が合うのかなぁと、こちらが心配してしまうほどです。
今回のこのセーターはアルパカ100%の毛糸で編んだのですが、日本では考えられないような安さでした。
日本も北欧もアルパカ毛糸は、ペルーからの輸入です。なぜこれほどまでに値段が違うのか。
日本にいる頃は、何かどこかでごまかされているような、不信感というか、気構えていないとだまされる不安がありました。
北欧は、日本のような上っ面のお愛想は全くありません。作り笑いもありません。
だから、日本の歯が浮くようなオセイジに慣れている人たちは、北欧に来ると頼りないような印象を受けるかもしれません。
けれど、実際に暮らしてみて、信頼できる人たちに囲まれていることが、どれほどの心の平和につながるかということを、ひしひし感じる日々です。

とにかく今は、肩こり首こりを治して、この靴下を編んでみようと思っています。
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欺瞞

 まだまだ、森にはビルベリーが成っているのですが、ビルベリー摘みは3日ほど前で終了しました
収穫量は黒カシスをあわせるとたぶん15kgになり、冷凍庫も満杯、用意していた空き瓶も残りわずかになったので、ここらあたりでやめることにしました。
それに、もうすぐサンタベリーの最盛期に入ります。
以下のサイトにビルベリーの収穫の様子が動画にアップされていました。

そうそう、こんな風にしてしか自生のビルベリーは摘めません。
1時間で500gが限度です。サプリメントでビルベリーは日本でもいっきに有名になりましたが、「サプリ一粒に220粒分のビルベリー・・・」などと謳っている会社もありますが、
ビルベリー220粒といえば重さにすると約100gです。ということは1時間かかって取れたビルベリーでサプリが5粒できる勘定です。人件費を考えただけでも、明らかにうそだということが判明するわけですが、法的にはうその表示はないようにしてあるそうです。原産国というのも、別に収穫した国だけが原産国ではなく、かなりの国を経由してサプリが製品化されるわけですが、その途中のどこの国の名前を原産国にしてもかまわないようです。フィンランドの国名を入れるために、一度フィンランドに輸入する形を取る事もあるようです。20120814_2557054

こちらは、朝には霜が降りることもあるくらい気温はすっかり秋になってきていますが、日本はまだまだ暑い日が続いていることと思います。
この夏も「節電しましょう」というお達しはあったのでしょうね。
でも、震災のあった昨年でさえ、実は電気は余っていたという噂もあり、ということは「原発の正当化のため」という説に私も賛成です。
こんな風に騙されて、一部の権力者の利益のために、うまく操られているわけですが、とはいえ「節電」すれば電気料金は安くて済むわけだし、我が家の家計費の節約のためにやっている人もいるでしょう。今までなら、こんなに暑いのにクーラーを入れずに我慢してたら、「けち」だとか「貧乏」だとか思われるんじゃないかという恐れがあったけれど、震災以後は大違い!! 「私は日本のために貢献して節電している」偉い人に大変身です。

ユースホステル(建物の目の前は海岸でした)をしていた頃、ある女子大生がスーパー袋を持って何度も出入りしているのを見かけました。「何をしているのかなぁ」と、そのときは判らなかったのですが、チェックアウトが済んで、掃除をしようとロビーに行ってみたら、共用のゴミ箱にあふれるばかりの空き缶とペットボトルです。
その女子大生が海岸に捨ててあるゴミを持ち帰っていたのです。
彼女自身はそれで「いい事をしている」気でいたのでしょうが、そのゴミの始末は全部こちらがしなければならないのです。ユースホステルのゴミは家庭用のゴミ回収は利用できず、営業用に有料のゴミ回収社を利用しているので、ゴミの量が増えれば当然、回収料金は上がります。最後の始末はせずに「いい人」を演じるわけです。そして彼女の使った部屋は散らかったままでした。

私は能動的に良い事をするより、まず悪いことをしないことが第一なのではないかと思います。ゴミを拾って歩くより、まず自分が捨てないこと。
ゴミだけに関わらず、一人ひとりが害を出さなかったら、害を処理する必要はないのです。
自分が出し続けている害(これは物質的なものだけではなく、精神的な部分も含めて)には目を向けず、それを隠すために良いことをする。
そして「自分は良い人」だと自分自身をも騙す。

経済戦争は「欺瞞」がなければ生き残れません。
そして人間関係も「欺瞞」だらけのつきあいです。
他人を欺き、自分を騙し、いったい真実はどこにあるのかまったく判りません。
そしてそんな大人たちが子供達に教えます。
「うそをついちゃダメだよ」
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圧迫感

 日本にいた頃、どこにいたときも言葉では表現できない「圧迫感」がありました。
いつも身構えていないと灰色の雲が、押し寄せてくるような感覚です。
そしてその見えない力に、必死で戦っていたような気がします。
そしてその「圧迫感」こそが、私が日本を出たかった最大の理由だと思います。
今日、久しぶりにこの「圧迫感」を思い出す出来事がありました。
もちろん相手は日本人です。

フィンランド人と日本人は似ていると書いてある(もちろん日本人が書いているもの)のを、よく見かけますが、私は根本的に違うと思います。180度違うと思います。
ユースホステルをしていた頃、ノキアの日本支社に勤めていた人と話したことがあるのですが、「まったくあいつら《フィンランド人)は、偏った考え方しかできない」とぼやいていました。
その考え方の違いを聞いてみたのですが、どう見てもフィンランド人の言っていることのほうが道理に合っているとしか私には思えませんでした。
結局、ノキアは日本から撤退しました。
アジアの商法には合わないのでしょう。

数日前、フィンランドの雑誌から取材を受けました。その取材記者に「なぜフィンランドはこんないい国になったと思いますか」と、尋ねたら彼女は「フィンランドは独立するときに、新しい国を創ろうとしたからだと思う」と答えました。
「国民が等しく幸せになる国」
「一人の100歩より、100人の1歩を是とする国」

フィンランドは、きれいごとで隠しながら競争し戦い合っている日本とは、似ても似つかぬ国です。
「国民全員の収入が40万円」であるのがいいか「他の人の収入が20万円で、自分だけが30万円」であるのがいいか、を日本で調査したら、ほとんどの人が後者を選んだといいます。実際私もこの質問を何人かにしてみたら、全員が後者を選びました。
人に勝つことも幸せの条件のひとつなのです。
トップから末端に至るまで、この勝ちたい願望がある限り、国民が等しく幸せになる事は不可能です。醜い争いを繰り広げているのは、一部の金持ちや政治家だけではなく、最下層にいる人々でさえ、隣人に勝ちたいのです。
友人も、夫婦も、親子でさえも、勝った負けたを知らず知らずのうちに、やっているのです。きれいごとで隠しながら・・・ 自分自身さえ騙しながら・・・

今日の出来事で、夫は「そんな国から出られた自分たちの運命を喜ぶべきだ」と言っています。
私も夫も、フィンランドはこんないい国だから、もっと簡単に、誰でも望めば移住できるような道はないものかと考えてきましたが、これは間違いであることに気づきました。
この優しくて美しい国を、貪欲な心で汚されたくないと、心から思います。
残された人生、「フィンランドに役立ちたい」と言う方向だけを見据えて生きていきたいと思います。
 
最後に、
私は今まで、『フィンランドに来るといいよ』といろんな人に言ってきましたが、
本日をもってそれを改め、以下のように訂正します。
『フィンランドに来ないで下さい』

これはあくまでも私の独り言です。

皆さんの行動を強制するものではありません。念のため。