自分のいたい場所

 私は、フィンランドに来たくて移住したけれど、いやいやフィンランドに住んでいる人も、中にはいるようです。
私にとっては天国でも、その人にとってのフィンランドは地獄のように思えるのでしょう。
私は二人目の夫と一緒にいたとき、兵庫県相生市に住んだことがあります。
わずか1年半ではあったけれど、嫌で嫌でたまりませんでした。目に入る何もかもが、気に入らなかったし、京都を懐かしんでばかりいました。京都が特別いい場所であったわけではなかったのに、相生をけなすために京都を美化していました。
でも、突き詰めてみれば、そもそもそのときの夫婦関係に問題があったのです。
間違った相手との生活を壊すことができない自分を責める代わりに、相生を標的にしていたことが、今ならはっきりわかります。
ユースホステルを経営していた頃、団塊の世代の夫婦が、泊まりに来る事が時々ありました。二人で旅行するくらいなのだから、そんなに仲が悪いわけではないのでしょうが、やはり惰性で一緒にいるだけという関係だったと思います。
そういう夫婦を見るたびに、私は二度の離婚は正解だったなとつくづく思いました。
あのまま夫婦を続けていたら、安定はあったかもしれないけれど、心はいつも不満でいっぱいで、いつも自分をどこかで恥じ、それを周りの人のせいにし、環境のせいにし、害毒を振りまいていたに違いないと思います。
「子供のため」という大義名分で、「自分の欲深さ」を覆い隠し、世間に対して良い母を演じていても、自分の奥底は自分の醜さを知っているのです。だから、自分自身が自分を決して幸せにはしないのです。
離婚を選んだ生活は、決して楽な道ではなかったけれど、今こうして、真の魂の伴侶と言えるパートナーと、このすばらしい国に暮らすことができている自分の人生に、心から感謝しています。
私をフィンランドに導いた当時のフィンランド首相の言葉「心が離れた夫婦が一緒にいることは不幸なことだ」は、なんとすごい名言だったことかと、改めて思う私でした。

心の貧しさ

 フィンランド語教室は、「Oulu Opisto」という所で、行われています。
ここは、一般人に対しての数十種類の教養講座が開かれているほか、音楽家の学生も利用しているスペースです。大学とのどのような関連があるのか、詳しい位置づけは判りませんが、私が授業を受けに行く時間帯は、楽器を抱えた学生たちで中央ホールはにぎわっています。
そして、授業が終わる7時には、また次の時間帯で講義を受けに来る一般人がたくさんやってきます。
私たちは4時半からの授業なのですが、いつもだいたい4時前後に到着します。
そして、この1階ロビーか、喫茶部のあるスペースで、時間をつぶします。
この、学生も一般人もたくさん出入りする1階ロビーの一角に、写真のようなコーナーがあります。このようなコートラックが5列ほど並んでいて、ひとつの列にたぶん30着くらいのコートがかけられています。そしてその棚には、「ご自分の責任で!」と言う張り紙がしてあります。もちろん鍵もないし、届出も必要なし。20120223_2374297
まぁ日本で言うなら、お店に入るところにおいてある傘たてのようなものでしょうか・・・
店の中に持って入るのは邪魔だから、置いていくという感じです。
でも、ここは傘ではなく、コートです。
しかも、学生たちはコートをそこに置いて、離れた棟の教室へ行ってしまうわけです。
誰が入ってくるか判らないし、誰かが持っていってしまうかもしれない。

そもそも、この国は「うそは罪」という概念があり、電車でも、スーツケースなどの大きな荷物は、座席からは遠く離れた棚に置いておくのです。座席の貨車からは扉で仕切られているので、自分の荷物はまったく視界に入りません。
たぶん「盗まれるかもしれない」なんて、まったく考えないのでしょう。
私はこの国のこういうところに、感動を覚えます。
けれど、実際に私はこの棚にコートを置いていったことはありません。
フィンランドの冬の寒さは厳しく、コートも相当分厚くてカサが高いので、教室に持っていくと、置き場所に困るのですが、もしなくなっていたらという不安がよぎってしまいます。
日本では、自転車に鍵をかけなければ、必ず盗まれます。
鍵をかけていても、高価な自転車を何回も盗まれたという友達もいます。
安全だと言われている日本でも、そんな事は当たり前です。
「人を見たら泥棒と思え」と言うことわざもあるのですから・・・

でも、平気でコートを置いていくフィンランド人の横を、分厚いコートを抱えて教室に向かいながら「まだまだ私の心は貧しいなぁ」と、思わずにはいられませんでした。

フィンランド語教室

一 昨日は、朝から雪が降り始め、テレビの天気予報では“・・ルンタ・・・、ルミサター・・”とかの言葉が繰り返されていて、どうも一日中雪が降りそうな気配。

はてさて、フィンランド語教室に行けるかどうか・・・。

というのも、我が家の森の家から、オウルまで約100km、車で1時間半かかり、家に帰り着くのは夜の9時半です。その時間までメイン道路はともかく、こんな森の中を除雪してくれるかどうか心配だったからです。けれどやっぱり、フィンランド語教室に行きたくて、車に雪かき用のスコップを積んで、出かけることにしました。
昨日の授業は、雪のせいか、生徒がたったの8人!
宿題の答え合わせだけでも、2回も答える順番が回ってくるし、その後も、当てられまくりの2時間半でした。
“Minusta(私としては~思う)”を使って、思っていることを言いなさい、というのがあって、これは全員に答えさせられたのですが、私は “Minusta, on mukava opiskella suomea.(私にとって、フィンランド語を勉強することは楽しい)” と答え、先生に“Hyvä!”と言われ、なんか良い気分!
でも昨日、家にいるとき携帯電話が鳴りました。知らない電話番号が表示されています。フィンランドに来てから電話がかかってくることはめったにありません。電話に出るとフィンランド語でペラペラと話してくるのですが、当然のことながら、私にはまったくわかりません。「テキストメッセージを送ってください」というフレーズは何度も覚えたはずなのに、あせって、頭は真っ白。結局、ワケがわからないまま電話は切れてしまいました。誰からだったのか、何の用事だったのか、今も不明です。こういうことがあると、まったく自信がなくなってしまいます。あの授業中の気分の良さは、いっきに吹き飛んでああ、道は遠い…
また、心新たにガンバローっと。